豊かな森林と伝統技術を未来へつなぐ
ウバメガシを材料とした白炭(しろずみ・はくたん)を備長炭(びんちょうたん)といいます。ウバメガシは古くから備長炭の材料として利用されてきました。三重県南伊勢地域(志摩市、鳥羽市、南伊勢町)にはウバメガシが豊富に群生しています。製炭業を営み、さらには新規就業者を募って地域の地場産業化を目指していくことで、備長炭の製造技術を未来へ受け継ぐと共に、この貴重な森林資源の循環利用を促進して美しい南伊勢地域の自然を永続させ、将来にわたって住み良い地域にしていきます。
01. 自然との共生

かつて里山の森林は地域住民による様々な利用によって、その姿を維持してきました。ところが、戦後の燃料革命によって薪炭需要がなくなり、薪炭林は老齢化・大径木化し、全国各地で「ナラ枯れ」などの集団枯死に至る結果を招いています。残念ながら、三重県南伊勢地域(志摩市、鳥羽市、南伊勢町)のウバメガシ林も同様な危機に直面しています。本来、里山の森林は、適切に伐採して萌芽を促し、若く保つことが森林の健康を維持する上で必要です。里山の樹木を積極的に生活に利用することは、生物多様性の維持、地球温暖化防止などの環境保全にもつながります。
(参考文献) (独)森林総合研究所「里山に入る前に考えることー行政およびボランティア等による整備活動のためにー」
02. 伝統技術の継承

備長炭発祥の地・和歌山県の紀州備長炭(注1)。ウバメガシは水に沈むくらいに比重が高く、硬く締まった材料です。また、白炭は黒炭(くろずみ・こくたん)と比べ、その製法の違いから、炭化純度が高く不純物が少ないので、燃焼時に匂いや炎をほとんど出しません。硬いウバメガシを備長窯でやくと、さらに締まって、とても火持ちの良い(なかなか燃え尽きない)炭になります。この世界最高の備長炭製造技術を3年間学び、南伊勢地域(志摩市、鳥羽市、南伊勢町)に群生するウバメガシを材料に、今、この地で「志摩の炭屋」を開業します。地域ブランド(注2)に名を変えますが、紀州備長炭の製造技術を受け継いで、未来へ繋いでいきます。
(注1)「紀州備長炭」は和歌山県木炭共同組合の登録商標です。
(注2)地域ブランドは今後地域の方と協議を進めてまいります。
03. 炭火のある食と暮らし

ガスコンロでフライパンなどを使った調理は伝導熱を利用した調理法です。炭火料理が美味しい訳は、炭火が放つ強烈な遠・近赤外線による輻射熱を利用するからです。遠赤外線が食材の表面温度を上げて表面を硬化させ肉汁等を閉じ込めるとともに、近赤外線が食材の中を温め加熱分解によってグルタミン酸などの旨み成分を生成します。これによって、表面はパリッと、中はジューシーに仕上がります。
特に七輪は、古くから昭和初期まで一般家庭で広く利用されてきたそうです。ところが、現代ではガスコンロが一般的になっています。その忘れ去られた伝統の食文化、七輪と炭火に回帰してみましょう。
炭火で安らぎの時間を
人々の多くは都市に集まり、効率的な生活を送っています。半導体やAI技術の進歩が今後も益々人々の暮らしを便利にしてくれます。そんな世の中で、都会での仕事や暮らしに疲れたとき、炭火はきっと人々の疲れた心を癒してくれるでしょう。たまにはゆっくりと炭火を眺めながら、美味しい食事とお酒はいかがでしょうか。
04. 地域の地場産業へ

地域の豊富な資源を最大限活用して健康で若い森林にしていくために、また、備長炭製造技術を未来へ受け継いでいくためには、担い手が足りていません。そこで、新たに製炭業へ転身される方を募ります。備長炭製造を地域の地場産業に発展させることを一緒に目指しましょう。都市集中から地域分散。通信インフラや交通・物流網が全国的に整備された今、地域分散が可能な時代になりました。日本が目指していくべき姿の一つであると考えます。
体力を要する仕事であり適性は限られてきますが、自然や地球環境に興味があり、ものづくり(伝統技術)が好きな方、備長炭という商品を作る難しさを感じながら、より良い品質のものを追求していける方には向いているかもしれません。また、自然と対峙しながら森林再生の使命感、伝統技術を継承していく使命感も持つことができます。興味を持たれた方は、手を挙げてくだされば、小さなお子さんを持つ世帯であっても、将来を含めた十分な暮らしを実現する算段を提供いたします。
